2019/09/21

ⅡS改 1955年


シャッター幕切れ

ノブ巻上げの最終機。ⅣSb改の普及モデル。異なる所はシャッタースピードの最高速1/1000秒が1/500秒であること位で殆どⅣSb改と同じ。
距離計の倍率:×0.67、×1、×1.5に切り替えられる。この時の視野は、50、100、135mmのレンズに対応する。
シャッター:フォーカルプレーンシャッター、T、B、X、1~1/500秒
レンズマウント:「ライカ」のネジマウントと共通。
大きさ・重さ:140×72.2×67mm
504g(ボディ)
発売当時価格: 78,500円(F1.5付き)
68,000円(50mm F1.8付き)

ⅣSb改はスペックと質感とも最高レベルだったが、50mm F1.5付きで85,000円と高額だった。そのためⅣSb改の1/1000 1/1000秒シャッターを省いてコストダウンして普及期の位置づけとしたのがこのⅡS改型である。その他の仕様はⅣSb改とほぼ同様である。
約17,000台生産された。

キヤノンⅡSはⅡDにX接点シンクロを組み込んだもの。ⅡDはⅣ型の1/1000秒を外し廉価版としたもので、他はⅣ型と同じ。
ⅢA発売の翌年、一世代戻ったようなⅡDが登場。Ⅲの次の世代としてはⅣS(ⅣF)が用意されたが、その普及タイプとして新たにⅡA型、ⅡD型が発売された。ⅡD型はⅡA型よりもワンランク上の普及タイプで、ⅡAに1/8秒以下のスローシャッターを加えた機種。
ⅡD型はバリエーションとしてⅡD型(フィルム感度メモ板を加えた)、ⅡAX型(ストロボ専用がコンセプト)、ⅡAF型(ⅡAXのX接点を省きFP接点のみ)、ⅡF型(ⅡAFにスローシャッターを追加)、ⅡS型(ⅡFにX接点を追加)まで続々と登場する輸出向け機種のベースになっている。
ⅡS改はシャッター速度が倍数系列になったもの。
キヤノンは同一ボディをベースに、シャッタースピードやフィルム感度メモ板の有無など、仕様を変えたバリエーションを発売した。
カメラは高級消費財であり、価格と機能の組み合わせで選択肢を増やすことでユーザーのニーズに応えようとした。

[掲載文献]
カメラレビュー クラシックカメラ専科 №31 「キヤノンハンドブック」 P32
マニュアルキャノンのすべて P89
往年のキヤノンカメラ図鑑 P124
ノスタルジックカメラⅡ P74
季刊クラシックカメラ №6 キヤノン P13