2019/10/11

フジカミニ 1964年


1964年から短期間作られたカメラで、もともと若い女性ユーザーを対象にデザインされた。

形式:ハーフサイズEEカメラ
レンズ:フジナーK 25mm F2.8 3群3枚構成 固定焦点(ライカ判35mm相当)
シャッター:1/125秒固定単速
絞り:F2.8~22
露出調整:セレン式露出計連動
フィルム感度を人口宝石のマークに合わせ、鏡胴のレバーで絞りを合わせる追針式。セレン受光部とレンズは常にUVフィルターで覆われている。
軍幹部上面のメーターの4つの宝石の色はフィルム圧板の裏に説明されている。
ピンク(ルビー) ASA25
ブルー(サファイア) ASA50
レモン(トパーズ) ASA100
グリーン(ベリドット) ASA200 となっている。
大きさ・重さ:92×65×42mm 280g
価格:本体8,800円 ケース800円

フジフィルムは多種のハーフサイズカメラを作ったが、中でもユニークなのがフジカミニで、当時世界一小さいハーフサイズカメラと称していた。
フジペットと同様、設計は甲南カメラ研究所所長の西村雅貫、デザインは当時東京藝術大学美術学部工芸意匠学科助教授(後教授)田中芳郎のコンビによる。
ハーフサイズカメラが流行ったのは、東京オリンピック前後の時代で、当時リコーオートショットがオリンピックの公式記録カメラに認定されて、誇らしく電車の中吊り広告を出していた。ハーフサイズカメラの先鞭をつけたのはオリンパスペンで、フジカミニはちょうどそのオリンピックの年に発売された。
フジカミニの小ささの秘密の一つは巻上げ方法で、軍幹部上面のギザギザのあるホイールと底部にある凹みを右手の親指と人差し指で挟んでカメラを回して行う。
小ささのもう一つの秘密は、ヒンジの付いたフィルム圧板と画面中央の下だけに付いたスプロケットである。
露出調整は、まず宝石で色分けされたフィルム感度に置き針を合わせ、鏡胴のレバーを動かして露出計の針をそれに合わせれば絞りが調節される。

[掲載文献]
日本のカメラ P109
クラシックカメラ倶楽部 P59
かわいいカメラに首ったけ! P118(分解記事あり)
中古カメラの逆襲 P215