2019/10/19

ニコマート FTN 1967年


(クローム)

(ブラック)
ジャンク品 巻き戻しクランク欠如

通称ガチャガチャ方式と呼ばれる半自動の開放F値設定機構を採用
シリーズで最も販売台数が多かった機種。普及期ながら高い堅牢性を備え、プロカメラマンのサブ機としても大活躍した。

形式:TTL露出計内臓35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
マウント:ニコンFマウント
ファインダー:ペンタプリズム固定式、視野率91.7%、倍率0.9倍
露出制御:CdS使用、中央部重点測光、絞り込み測光可(FTは全面平均測光)
シャッター:コパルスクウェア、上下走行メタルフォーカルプレーン、
レンズマウント周囲にダイヤルを設け、シャッター速度変更軸とはギア連結
シャッタースピード:B、1~1/1000秒、X接点1/125秒
セルフタイマー:作動時間最大10秒
シンクロ接点:X、M
電源:1.3V水銀電池×1
大きさ・重さ(ボディのみ):148×95×54.5mm、765g(FTN)
発売時価格:ボディのみ32,000円、ブラックボディ1000円高
50mm F1.2付 67,100円 F1.4付 54,800円 50mm F2付 46,000円

1967年に登場したニコマートFTNは、FTの改良型で、ニコマートFTのシャッタースピード設定リングの形式を、交換レンズの開放F値を半自動でセットする「ガチャガチャ方式」に改良、また、TTL露出計の測光パターンとしてニコン独自の中央部重点測光が採用された。このカメラは、8年間の長きに渡り製造されたベストセラー機で、後期になると巻き上げレバーにプラスチック製の指当てがつくなど、細部が改良された。
FTNのNは英語で「狭い」という意味の「narrow」から取ったもので、測光範囲がより狭い「中央部重点測光」を取り入れた機種ということを表している。これは、測光系の集光レンズと受光素子の間に絞り板を入れることにより、ファインダー視野の中央部、直径12mmの範囲から60%、その周囲から40%の光を受けて測光する方式である。
FTNの最も大きな改良点は、いわゆる「ガチャガチャ方式」による半自動の開放F値設定機構である。その仕組みは、レンズマウント周囲の連動リングに、ラチェットを利用した機械的な記憶機構を組み込み、レンズ装着後、最小絞りまでリングを回転する動作でこれをリセットする。そして次に開放まで回転する動作で、そのレンズの開放絞り値を読み込んで記憶する。リセットのための機構はペンタ部前面の銘板の中に組み込まれており、そのためFTに比べ銘板が厚くなっている。
その他の改良点は、ファィンダー内の定点マークにプラスとマイナスの表示が加わったこと、そしてファインダー内の下部分にシャッター速度の表示が追加されたことがある。

1972年ニコマートELニコン初のシャッター電子制御式
1975年〃 FT2FTNの改良型、ホットシューを装備、ISO感度操作を改良
1976年〃 ELW電動フィルムワインダーAW-1を装着できるよう改良
1977年〃 FT3ニッコールレンズとボディの絞り値連動方式のAiシステム導入

FT3とほぼ同時期にFMが登場した時に、ニコマートの名前が消え、ニコンEL2となり、さらに翌年ニコンFEの登場によりニコマートは姿を消した。
ニコマート・シリーズは、FE、FMシリーズの前身となったシリーズ。その代表機がFTN。
「ガチャガチャ方式」は、ニッコールレンズがAi化される1977年までTTL測光機に採用されている。

[掲載文献]
CAPA ニコン一眼レフのすべて P82
日本のカメラ P105
銀塩カメラ至上主義 P49
MF一眼レフ名機大鑑 P68
金属カメラ・オールガイド P62
写真工業 2007年9月号(Vol65 №701) P95
季刊クラシックカメラ4 35mm一眼レフの名機 P38
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P74、239
中古カメラウイルス図鑑 P178
中古カメラ大集合 P97
極上カメラ100 P32
カメラスタイル22 「軍用カメラ」 P53

[修理マニュアル]
やさしいカメラ修理教室 P12