東郷堂は、薩摩出身の長束正規が創立した。妹の夫である田中幸一、豊田義雄と協力して昭和初期からカメラ製造に取り組んだ。郷土の英雄である東郷平八郎元帥に心酔し、会社名を東郷堂とし「トーゴーカメラ」を売り出したところ、海軍省から待ったがかかったが、自宅に押しかけ直談判して名前の使用の許しを得たという。
「トウゴーカメラ」で知られるように戦前から初心者向けカメラの製造を行った東郷堂だが、戦後になると「東郷堂」と「東郷堂産業」の2系列がある。
主なブランドに「トヨカ」、「メイカイ」、「メイスピー」がある。
[掲載文献]
写真工業 2005年10月 Vol.63 №678 P82
[東郷堂について]
東郷堂は第二次世界大戦前から活動していて、戦前は子供向けのカメラや「メイスビィ」(28×40mm判)、「メイカイ」(3×4cm判)といった横二眼レフを製造していた。戦後は本格的なカメラ製造を開始し、製品は6×6cm判二眼レフのトヨカフレックス(1957年)や、連動距離計を内蔵した35mm判レンズシャッターカメラのトヨカ35(1957年)などがあるが、横二眼シリーズの最終型として戦後登場したのが35mmフィルムを使用する横二眼レフの「トヨカフレックス35」(1955年)である。
世界の35mm判二眼レフカメラは8機種しかなく、横二眼レフはトヨカフレックス35ただひとつである。
[掲載文献]
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P233
