2019/08/30

オリオンカメラ/ミランダカメラ

1947年(昭和22年)に新聞社用機材の修理・改造を目的に東京の世田谷に設立されたオリオン精機産業が前身。1955年オリオンカメラと改称し、その年の8月に発売した初めてのカメラが「ミランダT」である。オリオンカメラではミランダTに先駆けてペンタプリズム搭載の試作機フェニックスを試作している。フェニックスは旭光学のアサヒフレックスのボディを利用して作られたが、ミランダTは独自のボディとなっている。
1957年(昭和32年)にミランダカメラ㈱に社名変更。1959年(昭和34年)に当時一眼レフを製造していなかった理研光学(リコー)と販売面での提携を結ぶ。
1969年(昭和44年)に米国のグループ企業AIC社の傘下となるが、その後の1976年(昭和51年)操業を停止した。

ミランダTは日本で最初にダハプリズムを搭載した一眼レフカメラであり、日本カメラ史上重要な足跡を残したカメラであった。
ミランダTの一眼レフとしての性能は、当時の平均的なものであった。シャッターは布幕横走り式フォーカルプレーンで、シャッターダイヤルはボディ上部の右側にあり、低速が下側、高速が上側の2段式ダイヤルになっている。シャッター速度は1/500秒までで、まだクイックリターン式ミラーではない。シャッターボタンは、ボディ前面右手側、レリーズソケットは別に上部にある。
後部に引き抜く着脱式のペンタプリズムが本機の最大の特徴である。
このミランダTはオリオンカメラの最初の量産機であるが、とてもよくできていた。
翌年(1956年)には1/1000秒を追加したT-Ⅱ型となり、1957年にはミランダカメラと改名してレバー巻上げとクランク巻き戻しによる操作の迅速化をはかったA-Ⅰ型、A-Ⅱ型(いずれも輸出用)となるなど、カメラの性能はスペックアップしていった。

[ミランダの歴代カメラ]
1955年ミランダTアクセサリーメーカーが生み出した国産初のペンタプリズム搭載モデル
1957年ミランダTⅡT、B、1~1/1000秒 ミランダ50mmF1.9付 57,200円
クイックリターンミラーを組み込んだ高級機
1958年ミランダBB、1~1/1000秒 ミランダ50mmF1.9付 59.700円
1959年ミランダSB、1/30~1/500秒 ミランダ50mmF2.8付 22,500円
ミランダBの普及モデル
1960年ミランダオートメックス輸出用 B、1~1/1000秒
                セレン露出計内蔵、レバー巻上げ、クランクまき戻し
1964年ミランダFB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 29,500円
レンズマウント内で連動する方式に変更された自動絞り
ミランダFMB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 CdSメーターファインダー付 33,500円
CdS露出計を内蔵したミランダF
ミランダオートメックスⅢB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 CdS露出計連動 45,500円
1965年ミランダGB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 露出計無 35,500円
1966年ミランダラポレックB、1~1/125秒 オートミランダ50mmF1.9付 露出計無 27,000円
ミランダFVB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 露出計無 30,500円
シャッターダイヤルに外付け露出計
ミランダセンソレックスB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 CdSTTLファィンダー付 44,000円
ミランダFVTB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 CdSTTLファィンダー付 35,500円
ミランダFVのTTL露出計モデル
ミランダGTB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.9付 CdSTTLファィンダー付 40,500円
ペンタ部交換でTTL平均測光を実現したミランダG
1968年ミランダセンソマートB、1~1/1000秒 オートミランダ50mmF1.4付 CdSTTLファィンダー付 45,000円
オートミランダ50mmF1.8付 CdSTTLファィンダー付 37,000円
1970年ミランダセンソマートREB、1~1/1000秒 50mmF1.4付 CdSTTLファィンダー付 48,500円
50mmF1.8付 CdSTTLファィンダー付 41,000円
1971年ミランダセンソマートRSB、1~1/1000秒 50mmF1.4付 TTL無 48,500円
50mmF1.8付 TTL無 34,000円
1972年ミランダニューセンソレックスB、1~1/1000秒 50mmF1.4付 CdSTTL 54,000円
50mmF1.8付 CdSTTL 46,000円
1973年ミランダセンソレックスⅡB、1~1/1000秒 50mmF1.4付 TTL 55,500円
50mmF1.8付 TTL 47,500円
ミランダオートセンソレックスEEB、1~1/1000秒 シャッター速度優先AE
オートミランダE 50mmF1.4付 67,500円
50mmF1.8付 59,500円
ミランダセンソレット35mmレンズシャッターカメラ
ミランダソリゴール38mmF2.8 採光窓ブライトフレーム
シャッター セイコーESF 2秒~1/800秒 23,000円
CdS自動プログラム
1974年ソリゴールTMB、1~1/1000秒 オートソリゴール50mmF1.8付 CdSTTL 53,800円
1975年ミランダReⅡB、1~1/1000秒 オートミランダEC 50mmF1.4付 CdSTTL 64,800円
50mmF1.8付 CdSTTL 59,800円
ミランダdx-3B、4秒~1/1000秒 オートミランダEC F1.4付CdSTTL 79,800円
F1.8付 74,800円
1976年操業停止

[掲載文献]
写真工業 2005年10月 Vol.63 №678 P80
カメラレビュー 「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P115
世界ヴィンテージカメラ大全 P126
入門金属カメラオールガイド P47