2019/09/25

コニレットⅡ 1956年


コニカは、戦前もっとも広いユーザー層を持ったと思われる「パーレット」、あるいは「さくらカメラ」などの普及型カメラを提供したが、戦後はこのクラスに当たるカメラはしばらく生産がなかったが、1951年にベークライトボディの「コニレット」が発売された。
「一家庭一台を目標として計画された最も使い易くだれにも手軽に操作できる家庭用カメラ」という商品企画であった。
当時のコニカカメラの中で最低価格のカメラであったが、レンズは3枚構成のコニター50mm F4.5の前玉回転が付けられた。

形式:ベークライトボディ、蛇腹を使ったフォールディング・カメラ
使用フィルム:専用パトローネに入った無孔の35mm幅フィルム、12枚撮り
画面サイズ:30×36mm 専用中枠使用で普通の35mmフィルムも使用可能
レンズ:コニター5cm F4.5(3群3枚構成)前玉回転式 絞り:F4.5~16
ファインダー:逆ガリレオ式、倍率0.6倍
シャッター:コパル、B、1/25~1/200秒
焦点調節:目測式、前玉回転
巻上げ:手動巻上げ解除レバー(等回転)
寸法・重さ:111×74×38mm、304g
発売時価格:コニレットⅠ型は5,500円
(同時期のコニカⅡ型が38,000円、パールⅡ型F4.5付が25,500円)

1956年に「コニレットⅡ型」に交代した。軍艦部カバーが青緑色のプラスチックから金属製になり、シャッターが自社製のKONIXからCOPALに替わった。機能は変わらないが大きく変わったのは価格で、3,300円と大幅に値下げとなった。
最終的に1959年に「ⅡM型」に進化する。この型は単独露出計を搭載し、本来の趣旨とはやや異質なカメラとなったように思われる。レンズもコニター55mmF3.5に更新された。
一家に一台の壮大な気宇を持って生まれたニコレットだったが、結果的には3機種合計で16万台に届かなかった。
専用フィルム使用の影響が大きかったといえよう。

[掲載文献]
コニカカメラの50年 P156
日本のカメラ P96
クラシックカメラの世界 P79
写して楽しむクラシックカメラ Part1 P69
ちょっと触っていいですか P28
学研「大人の科学Vol.25」 P41
日本カメラ博物館「世界を制した日本のカメラ」 P31