2019/09/11

オートアイ 1960年

日本で最初に市販された自動露出(EE)式カメラ。

形式:35mm判EE距離計連動レンズシャッター式カメラ
レンズ:Dズイコー45mm F2.8(3群4枚テッサー型)前玉繰り出し式
ファインダー:採光式ブライトフレーム、距離計連動式、倍率0.7倍
シャッター:機械式レンズシャッターコパルSV、B、1~1/500秒、セルフタイマー付露出モード:マニュアル、シャッター速度優先式EE。
測光方式・受光素子:セレン露出計のメーター針をストッパーとして適正絞りを設定する方式だが、パテントを回避するため、メーター針を段カムの付いた形状として、これをストッパーとするメカニズムを採用。
あらかじめ絞り値が確認できるプレビューボタン付
焦点調節:マニュアル
シンクロ接点:M・X接点、簡易フラッシュマチック装置付
フィルム巻上げ:レバー一回式、分割巻上げ不可
フィルム巻き戻し:クランク式
大きさ・重さ:134×77×81mm、 650g
発売時価格:20,000円

絞りやシャッター速度を選ぶ必要もなく、連動露出計式のように指で針を合わせる必要もなく、ただ被写体にカメラを向けてシャッターボタンを押すだけで適正露出のネガが得られるという完全自動露出カメラは、この頃になってようやく実現化されるようになった。
1938年にデビューしたコダック(アメリカ)のスーパーコダック620(7×9cm判)は消えてしまったが、1956年にアグファ(西ドイツ)のアグファオートマチック66は実用に堪える完全自動露出カメラの第一号機として注目を浴びた。その後世界初の実用的なEEカメラとされるのが1959年にアグファが発表した35mm判カメラ、アグファ・オプチマである。このカメラは焦点調節が目測である。
その後この種のカメラは、主にアメリカで初心者向きの普及機、例えばベルエレクトリックアイ127やリビアエレクトリックアイマチックEE127などの方向に進展して大衆の間に知られるようになった。これらは全て露出計のフォトセル(光電池)で生じる微弱な電流によって絞りを動かすか、絞りの位置を規制するものでエレクトリックアイ(電機で動く目を持つカメラ)略してEEカメラと呼ばれている。

国産のEEカメラとしては、1959年既にヤシカフューチュア、オリンパスアイ44などが
発表されたが、いずれも試作機にとどまり、実際市場に出たものとしてはオリンパス・オートアイが第一号機といえる。
このカメラの特徴は
①必ずしも露出計の指示する絞りに従うことなしに、撮影者の意図によっても露出条件が変えられること。
②低速から高速まで全部のシャッター速度に自動絞り機構が連動すること。
この特徴は、ほかの国のEEカメラがただ1種類の速度あるいは高速度にしか連動しないことに比べると、大変進歩していた。
このカメラの外観は、他のEEカメラ、特にアメリカ製に比べると非常に地味で、眺めただけでは最新鋭のEEカメラという感じはしない。

日本のカメラを本格的にAE時代に踏み込ませたカメラが、1961年に発売された「キヤノネット」である。

[掲載文献]
アサヒカメラ「ニューフェース診断室」オリンパスの軌跡 P43
カメラの歴史散歩道 P205
神立尚紀 図解・カメラの歴史 P142
「オリンパスペン」の挑戦 P88

[修理記事]
レンズシャッターカメラ修理教室 P46