2019/09/24
Disc4000 1982年
薄い箱型の形状が特徴のカメラ。このシリーズ中最も簡易なカメラ。
フィルム:ディスク型の回転式。
画面サイズ:「ミノックス」とほぼ同じ8.2×10.6mm
大きさ・重さ:118×80×28mm 180g
コダック社は、フィルムシステムを主導、小型化を意識した展開を早いテンポで進めた。
1963年、126判フィルム・システム(インスタマチック100)を登場させる。画面サイズ28×28mmで、裏紙付きフイルムがマガジンポン式のカートリッジにはいっている。
1972年、画面サイズを大幅に縮小した、110番を登場させた。画面サイズ13×17mm
対応カメラは、「ポケット・インスタマチック」
1982年、ディスクフィルムを出す。
しかし、このフィルムは、ユーザーの支持を得ることができず撤退した。
フィルムは1990年販売打ち切り、店頭から無くなる。1998年製造中止。2000年現像・プリントのサービス終了。
コダック社が主導したフィルム・システムの流れでは、特に後段には明らかに小型化を意識して展開された。
デジタルカメラのルーツは、1981年8月にソニーが発表した「マピカ」に端を発するが、コダックはデジタルカメラに対抗する形で発売されたのがこのディスクカメラである。円板型フィルムを使ってデジタルカメラのように撮影することを狙ったものであるが、画面サイズが小さく、撮影枚数も少なく、画質が劣る中途半端なコンセプトのカメラであったため、市場からは支持を得られなかった。
(デジタルカメラについては、ニコンD70の項を参照)
この時点でコダックはデジタルカメラの開発は行っていた。しかし、写真用ロールフィルムの開発者であるとの自負からデジタルカメラを発売せず、遅れを取ってしまった。
また、レンズ付フィルムの開発も行われていたが、日本富士フィルムの「写ルンです」に先を越された。
コダック社はデジタルカメラなどの新規事業の開発ではなく、人員整理、工場縮小などの対応しか行わなかった。このため、経営状態が悪化していく。2011年暮に会社更生法申請になってしまった。
このカメラはコダック社が低落していく原点となったカメラである。
[掲載文献]
カメラの歴史散歩道 P64
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №74 P64