2019/10/11
フジペット 1957年
フジペットは、1957年に国産本格的子供向けカメラとして発売された、子供用カメラの元祖。レンズの左右に大きく三角形に張り出したシャッターセット、3種類のお天気マークによる露出制御など、シンプルだが必要最低限の機能が備えられている。
形式:6×8判ボックスカメラ ブローニー使用/画面サイズ:6cm×8cm判
レンズ:単玉70mm F11 固定焦点
フィルム像面を湾曲させ、四隅まで描写力を保っている。
ファインダー:逆ガリレイ式
シャッター:バリオタイプ B、1/50 絞りは3種類のお天気マークから選ぶ
フィルム巻上げ:ノブ巻上げ
大きさ・重さ:121×100×75mm、332g
発売当時価格:1,950円
1950年代後半、池田内閣の国民所得倍増政策に日本全国が沸き返ろうとしていたとき、子供たちのアイドルカメラが、このフジペットであった。
フジペットが子供たちのベストセラーになった最大の理由は、安くて簡単なカメラであったことである。
メーカーは中学生をターゲットにしていたが、アンケートの結果では大人の使用が多かったという。1959年には135フィルム使用の「ペット35」、1961年にはセレン露出計を入れた「フジペットEE」が発売され、シリーズは1963年までに出荷数約100万台の大ベストセラー商品となった。
フジペットの設計は、甲南カメラ研究所所長の西村雅貫、デザインは当時東京芸術大学美術学部工芸意匠学科助教授(後に教授)田中芳郎によるもので、田中はその後の35mmフジカ・カメラのデザインを担当していて、フジカ35Mも田中のデザインである。
昭和36年(1961年)にはセレン露出計のついたフジペットEEも生まれる。
昭和34年(1959年)になると、35mm時代の到来を象徴するように、フジペット35が4,100円で発売される。レンズは3群3枚で前玉回転のフジナーK45mm F3.5に、シャッターはBと1/25~1/200秒シンクロ付きのコパルにグレードアップしている。
[掲載文献]
きまぐれカメラBOOK P56、62
日本のカメラ P107
クラシックカメラの世界 P17
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №70 P94
ノスタルジックカメラ・マクロ図鑑 Part2 P38
写して楽しむクラシックカメラ Part1 P151
写真工業 2006年10月号(Vol64 №690) P52
らくらくカメラ大図鑑 P160
学研「大人の科学」 P41ロモグラフィ
神立尚紀 図解・カメラの歴史 P188
日本カメラ博物館「世界を制した日本のカメラ」 P31