2019/10/15

写ルンですスーパーアイ800 15ショット 2000年


(2台のうち1台を解体サンプルにする)

世界最小で超高画質を実現。2001年グッドデザイン賞

「写ルンです」は1986年(昭和61年)に、110フィルムを母体に世界初のレンズ付フィルム「写ルンです SUPER HR100」が富士写真フィルムから出された。正式には「レンズ付フィルム」(国外ではQuick Snap)と呼ばれる。カメラではないカメラである。
プラスチック製カートリッジに収められたカラーネガフィルムに、巻き上げギアとレンズ、簡易なシャッターを付け、露出の過不足はフィルムのラチチュードでカバーし(オーバー側に3段、アンダー側に1段計4段(4EV)程度ある)、通常の条件であれば写せるというもので、露出・ピントの精度を追及する一般的なカメラに対するアンチテーゼとも言えるカメラである。
初代モデルはISO100の110判フィルムを使用していたが、翌1987年に発売された「写ルンですHi」からはISO400の35mmフィルムに変更、画質が向上した。
1993年発売の「写ルンです スーパー800」ではISO800が採用された。
その後、フラッシュが内蔵されたり、高感度のもの、APSフィルムを使用したものも発売され、「カメラを所有する楽しみ」を求めない層の手軽な撮影手段として、デジタル時代に入ってからも愛用されている。

フィルム:APSフィルム、カラープリント用NEXIAズームマスター800
レンズ:24mm、F10 プラスチックレンズ1枚
感度:ISO800
シャッター:1/140秒
ピント:1m~∞、フラッシュ1~6m
大きさ・重さ:106×52×25mm 70g
価格:オープンプライス 480円

開発当初のネーミング案は、「パッ撮りくん」(忍者ハットリ君のもじり)が挙がっていたが、チーム内での評判が芳しくなく、上層部へのプレゼンの日に上司に「本当に写るのか」と問いただされた時に、開発責任者はとっさに「写るんです」と返答。その語感の軽快さと説明いらずの明快さに気付いた責任者の機転で名前が決定。その後、「ルンルン気分で撮れる」との意味を合わせ、正式に「写ルンです」という名前に決定した。
1986年の初代モデルはISO100の110フィルムとカートリッジを使用していたが、2代目に当たる「写ルンですHi」からISO400の135フィルムに変更、画質が向上。ISO400フィルムと比べて遜色なく写ルンですの固定露出に堪えるラティチュードの広い感度800のフィルムを写ルンてす専用として開発し、それを装填した「写ルンてすスーパー800」を1993年に開発した。
現在は、ISO800、ISO1600といった高感度のものや、APSフィルムを使用するものが発売されている。

[掲載文献]
日本カメラ博物館「レンズ付フィルム展」 P22
めざすはライカ P283
図解・カメラの歴史 P183