2019/10/18

ハイマチックE 1971年


ミノルタの大口径コンパクトカメラ
プログラムEE式電子シャッター付きカメラ。
専用ストロボを使うことで、オートフラッシュ撮影が可能。

レンズ:ロッコールQF 40mm F1.7 4群6枚構成
ファインダー:採光式ブライトフレーム、パララックス自動補正
シャッター:セイコーESF17
絞り羽根兼用のレンズシャッター、5枚羽根、ビトウィン
電池:HM-Nタイプ水銀電池 入手不可能
大きさ・重さ:123×86×63mm、570g
発売時価格:28,000円

ミノルタは1964年に「ミノルチナ」のブランドで、レンズシャッターカメラ2種類と、8mm映画用撮影機1種を発売した。いずれもそれまでにない小型・軽量を主眼としたものだが、ビジネスとしては成功しなかった。その中の「ミノルチナS」は40mmF1.8の大口径を備えながら幅128mm高さ74mmと当時としては大幅に小型化したものであった。大口径レンズを備えたコンパクト機の系列は、1966年のミノルタAL-Sに引き継がれる。
本格的なコンパクトカメラ時代に入って、この系列に自動露出を組み込んだものがこの「ハイマチックE」になる。ミノルチナSの露出計受光素子をセレン光電池からCdSに変更したものである。

レンズシャッター35mmのコンパクトカメラ化は、このタイプのボディに大口径レンズを装着する方向になっていたが、このカメラは金属ボディ、距離計連動、レバー巻上げ、そしてF2クラスのレンズの組み合わせにセイコーが完成したプログラム電子シャッターを導入した。金属製コンパクトカメラとして最後の、頂点ともいうべきカメラである。
この後、レンズシャッターカメラはフラッシュ内蔵、口径比F2.8、前玉回転によるフォーカス、プラスチックボディと進み、さらにAFからモーター巻上げへと変化していく。このカメラは歴史の変曲点にあったカメラであるといえる。
セイコーのシャッターにはバルブ露出が無い。シャッター羽根と絞り羽根が共用になっていて、開いたらすぐ閉じる構造で、高速シャッターでは開いてすぐ閉じ、低速ではゆっくり開いてゆっくり閉じる。開いた状態で時間保持するようにはなっていない。特にスローシャッタースピードでは絞られている時間が長くなるので画像のボケに影響が出る。
この後、プログラムシャッターは殆どこの方式になる。

[掲載文献]
写真工業 2005年5月号(Voi63 №673) P42 中古カメラウイルス図鑑 P18
2000-2001 カメラこだわり読本 P192