2019/10/19
EM 1980年
1980年にF3と同時に発売された、FM、FEシリーズの弟分として「リトルニコン」と呼ばれた、限界までコンパクト化された一眼レフ。「誰でも簡単に使えるカメラ」をコンセプトに開発された。
デザインはジョルジェット・ジウジアーロ。露出モードはビギナーを意識して絞り優先AEのみ搭載。
EMはニコンで初めて上下カバーにプラスチックを採用したカメラで、発売当時は、あのニコンがプラスチックボディのカメラを作ったと揶揄されたが、内部は手抜きのないダイキャスト製である。
形式:電子制御式35mm一眼レフ
露出制御:TTL絞り優先AE専用
レンズマウント:ニコンFマウント
ファインダー:ペンタプリズム使用アイレベル式、視野率92%、ファインダー倍率0.86倍
測光方式:TTL中央部重点測光(受光素子SPD)
マウント向かって右に逆光補正ボタン、ワンタッチで±2EVの補正が可能
AEロックなし
ファインダー:スクリーン固定、スプリットマイクロ式
露出計連動:Ai方式
シャッター:セイコー製、電子制御金属幕縦走行フォーカルプレーン、BとXは機械式
シャッタースピード:Aモード、B、1~1/1000秒(無断階)、マニュアル1/90秒
セルフタイマー:作動時間10秒
シンクロ接点:X
巻き上げ:レバー式、小刻み巻上げ可
電源: 1.55V銀電池(SR44)×2、1.55Vアルカリマンガン乾電池(LR44)×2のいずれか
ボディ:プラスチックボディ
寸法・重さ:134.5×86×54mm、444g(ボディのみ)
発売時価格:40,000円(ボディのみ)50mm F1.8付60,000円
ニコン一眼レフのボトムエンド機として登場したEM。同時期に低価格のEレンズも発売されたが、日本ではニコンは高級なイメージから評判が良くなく、1982年にはプログラムAEと手動露出を追加したFGを投入。1984年には再びプログラムAEを外したFG-20を発売した。
EMは当初主にアメリカ市場における戦略商品に位置づけられ、発表もF3に先立って1979年3月シカゴで開催されたPMAショーで行われた。
ニコンの一眼レフはとにかくゴツく、女性の手に余るものも少なくない。EMはそんなニコン一眼レフと対極に位置するカメラで、女性が積極的に使えるカメラ造りをコンセプトにしていたという。うわさでは「女性専科」がEMの開発時の合言葉だったといわれてる。
アメリカ向けは逆光補正ボタンが青色である。
巻き上げレバーはニコン初の「中折れ式レバー」を採用。予備角のない144度の巻上げ角だが、この中折れ式レバーを引き出すことが予備角の代わりになる。また、上級機のFMやFEでも採用されなかった小刻み巻上げが可能になっている。
[掲載文献]
CAPA ニコン一眼レフのすべて P96 趣味のニコンカメラ P80
究極のニコンカメラ P110 極上カメラ100 P75
ニコンカメラのココが一番・攻略百科 P76 マニュアルカメラ全集 P13
20世紀☆カメラ1950~2000 P60 入門金属カメラオールガイド P107
季刊クラシックメラ№4 「厳選19機種国産35ミリ一眼レフの名機」 P40
CAPAニコンカメラの買い方マガジンVol.6 「ニコンカメラのココが一番攻略百科」 P76、89
ノスタルジックカメラマクロ図鑑 P126、143
カメラレビュークラシックカメラ専科 2005年 78号 P
国産実用中古カメラ買い方ガイド100 P68
中古カメラウイルス図鑑 P112
[修理マニュアル]
ジャンクカメラの分解と組み立てに挑戦 P104