2019/10/19

F100 1998年


プロ向けのF5を一般向けにシェイプアップした高級機。作動部にOリングを使用した防塵防滴構造を採用。腰高のF5に比べ底部のバッテリーの分全高が低くなった。測光はF5のRGBではなく、3D-10分割のマルチパターンだが、精度は良好。ミラーアップ機能の省略が惜しい点である。
大きくなりすぎたF5に対して、少し小さな“F5ジュニア"として登場したハイエンドモデル。F5と変わらない作りと軽く使い勝手の良さから、プロカメラマンのサブ機としても人気を博した。外装はマグネシウム合金のダイカスト成形。

形式:モーター、スピードライト内臓35mm一眼レフ。
電子制御式フォーカルプレーンシャッター、オートフォーカス・カメラ
露出制御:P、マルチプログラムオート、シャッター優先、絞り優先、マニュアル
3D、10分割マルチパターン測光
レンズマウント:ニコンFマウント(AFカップリング、AF接点付)
ファインダー:アイレベル式ペンタプリズム、視度調整(-3~+1Dp)
視野率96%、0.76倍、アイポイント21mm
ファインダースクリーン 標準クリアマットスクリーンⅡ、交換可
ファインダー内表示:ピント、測光モード、AEロック、シャッタースピード、絞り、露出モード、露出補正、フォーカスフレーム、スポット測光エリア、
構図用格子線など
オートフォーカス:TTL位相差検出方式、マルチCAM1300オートフォーカスモジュールにより検出。検出範囲EV-1~+19(ISO100、常温20℃)
レンズサーボ:シングルAFサーボ(S)、コンティニュアスAFサーボ(C)
及びマニュアルフォーカス(M)
S、Cでは被写体条件により自動的に予測駆動フォーカス移行
フォーカスエリア:5点TTL位相差検出方式、至近距離ダイナミックAF(至近優先機能付)
測光方式:TTL開放測光方式、マルチパターン測光、中央部重点測光、スポット測光
露出補正:±5段階で1/3段ステップで可。補正中はファインダー内表示及び表示パネルに
露出補正マーク表示
ISO感度設定:6~6400、DXコード
シャッター:上下走行金属羽根電子制御フォーカルプレーン、B、30~1/8000秒
シンクロ同調:X接点、1/250秒以下。FP発光モードでは1/250~1/4000秒
シンクロモード:先幕及び後幕シンクロ、赤目軽減スローシンクロ、スローシンクロ
レンズ絞り:瞬間復元式、プレビューボタン付き
オートブラケティング:撮影枚数2コマまたは3コマ
補正ステップ1/3、1/2、2/3、1段ステップで可
アクセサリーシュー:ホットシュー
プレビュー:プレビューボタンにより絞込み可
フィルム装填:順巻き式イージーローディング
フィルム巻上げ:内蔵モーターによる自動巻上げ、巻き上げ速度1/250秒以上
S:1コマ巻き上げ
C:連続巻上げ約4.5コマ/秒(単三アルカリ電池) 約5コマ/秒(バッテリーパックMB-15使用)
CS:低速連続巻上げ 約3コマ/秒
フィルム巻き戻し:内臓モーターによる自動巻き戻し
多重露光:可
裏蓋:蝶番式
電源:3Vリチウム電池ホルダーMS-13(CR123AまたはDL123A)2本、
またはバッテリーパックMB-12により単3形電池4本使用可能
マルチパワーバッテリーパックMB-15 単3型6本
大きさ・重さ:155×113×66mm、785g(ボディのみ、電池除く)
発売時価格: 190,0000円(ボディ本体)

ニコン一眼レフでは、新たな技術はまず中級機で試され、最終的にフラッグシップ機に組み込まれてきたが、このF100からは逆に高級機のスペックが簡略化あるいは自動化された形で中級機や普及機に降りてくるという現象が始まった。
F100でニコンとして初めて採用したのがファインダー内のスーパーインポーズによる表示。5個のフォーカスエリアの中でどれが有効になっているかをファインダースクリーン上に赤く表示するもので、5個のLEDが内蔵されている。
AFに使用する測距センサーはマルチCAM1300を採用。測距エリアは5箇所で中央部分に十字型に配置されている(中央と左右の3箇所はクロスタイプのセンサー)。測距エリアの選択方法は、ボディ背面のフォーカスエリアセレクターで行う。選択したエリアはファインダー内に赤色でスーパーインポーズされ、格段に見やすく、特に暗所で実力を発揮する。AFモードには、1つの測距点を使う「シングルAF」、5箇所の測距点情報を使う「ダイナミックAF」、5箇所のエリアのうち最短距離のエリアにピントを合わせる「至近距離ダイナミックAF」が用意されている。また、予測駆動フォーカス(動体予測AF)の追従性のよさは、AF300mm F2.8レンズを使って時速50Kmで接近する被写体を8mの至近距離まで追えるほどのスペックである。シャッターは最高1/8000秒~30秒、シンクロ1/250秒と十分なワイドレンジになっている。
測光センサーは、5箇所の測距エリアをカバーする10分割センサーを搭載。Dタイプレンズでは3D-10分割マルチパターン測光が行われる。
露出補正の補正幅は、±5EV(1/3ステップ)。露出補正ボタンを押しながらメインダイヤルで設定する。この操作が煩わしい場合はカスタムセッティングにより、ダイヤルを回すだけで操作することができる。カスタムセッティングはF90と異なり本体のみで手軽に行える。露出補正以外にもAE/AFロックボタンの機能変更や露出幅のステップ、AF動作など22項目が変更できる。

[掲載文献]
季刊クラシックカメラ「ニコンF100」
CAPA ニコン一眼レフのすべて P112 極上カメラ100 P71
クラシックカメラミニブック17「使うニコンF100」 (酒田図書館)
CAPAニコンカメラの買い方マガジン Vol.6「ニコンカメラのココが一番」攻略百科
国産実用中古カメラ買い方ガイド100 P58 P26、92
20世紀☆カメラ1950~2000 P89
ニコンカメラのココが一番・攻略百科 P26