2019/10/17
オートハーフS 1965年
1962年、リコー・オートハーフは初心者向きの目盛なし自動カメラを指向して開発された。
小型、ユニークな形、前面カバーと後面カバーでモナカのように挟んだボディの造りで、当時どこのカメラにも無かった造りであった。
形式:ハーフ判シャッター優先EEカメラ
使用フィルム:通常の35mmフィルム
巻き上げ機構:スプリングモータによる自動巻上げ
レンズ:リコー25mm F2.8(3群4枚構成) 固定焦点
ファインダー:逆ガリレイ式、ブライトフレーム入り 倍率0.38倍
シャッター:セイコーシャBS-11
通常撮影は、1/125秒一速のAE式。
フラッシュ撮影用として1/30秒がある。
セルフタイマー付
露出計:セレン光電池式、シャッター(Ⅰ/125秒)優先EE
目盛表示:フィルム感度設定目盛、フラッシュ撮影時のための絞り目盛だけ。
大きさ・重さ:90×70.5×30.3mm、360g
初代オートハーフは270g
発売時価格:13,800円
表面デザインやカラーで多数のバリエーションがある。後に、ゾーンフォーカス型や大口径レンズ付きも出た。
発売から17年わたり20機種以上のモデルを製造。SL(1970)ではハーフサイズとして初めてF1.7のレンズを搭載。EF(1978)はストロボの付いたモデルで395gと重くなっている。最終モデルはEF2(1979)で、ポップアップ式のストロボを搭載した。
リコー・オートハーフ シリーズ
1962年(昭和37年) オートハーフ
1963年(昭和38年) オートハーフ ゾーンフォーカス
1965年(昭和40年) オートハーフS
1966年(昭和41年) オートハーフE
1967年(昭和42年) オートハーフSE
1970年(昭和45年) オートハーフSL
1976年(昭和51年) オートハーフSE2
1976年(昭和51年) オートハーフE2
1978年(昭和53年) オートハーフEF
1980年(昭和55年) オートハーフEF2
大阪万博記念ものやサイケデザイン、花柄、クラシックカー、各種イベントなどの特注品などメーカーでもその数がわからないほどバラエティに富んだ前面の絵柄デザインの豊富さ、ゼンマイによるフィルム巻上げなどが特徴のカメラであった。
「リコーオートハーフ」の発売は1962年だが、リコーはそれ以前に「リコーキャディ」(1961年)という普通のハーフサイズカメラを発売している。
ハーフサイズカメラは「オリンパスペン」(1959年)が発売されて以来日本で普及するようになり、「リコーキャディ」はハーフサイズの時代に向けて一般的な35mmカメラの構成をそのままハーフサイズにしたカメラになっている。
「キャディ」を発売する際に平行して「オートハーフ」の設計が進んでいた。発想は設計課員だった安宅久憲による。安宅の考えは、ハーフサイズカメラが小型になる特性を生かして、できるだけ小さく、キングサイズのタバコの箱以下にできないかというものであり、またリコーが以前から指向していた自動化・目盛のないカメラもここで実現しようということであった。露出の自動化は機能の割り切りで、自動化はゼンマイ動力を採用したスプリングモーター巻上げとすることになった。シャッターもセット時のトルクを小さくするシャッターは精工舎に依頼して超薄型の専用シャッターを設計してもらった。
カメラメカニズムのレイアウトは在来のカメラとは大きく異なったものとなり、ダイカストの骨格を中にして上下をカバーする「ライカ」以来の常識と違い、安宅が考えたのはダイカストの前後をカバーする構造だった。それを野中宏親がデザインした。
[掲載文献]
日本のカメラ P136
カメラレビュー クラシックカメラ専科2007年 №84 P41
季刊クラシックカメラ4 P73
きまぐれカメラBOOK(年表付き) P24、28
カメラの歴史散歩道 P226
クラシックカメラの世界 P58
クラシックカメラ倶楽部 P60
ノスタルジックカメラ・マクロ図鑑 Part1 P94
写して楽しむクラシックカメラ Part3 P162
かわいいカメラに首ったけ P142(分解記事あり)
極上カメラ100 P170
20世紀☆カメラ1950~2000 P42
カメラスタイル22 「軍用カメラ」 P66