2019/10/17

XR500 1978年


「田園調布に家が建つ」のギャグで一世を風靡した漫才コンビ星セントルイスをCMキャラクターに起用して「リコーのサンキュッパ」という価格訴求でヒットした普及版35mm一眼レフ。標準レンズとケース付で3万9千800円で売り出され、同年登場のキヤノンA-1にF1.4標準レンズ付で11万5千円なので、およそ1/3の価格であった。ただし、シャッター速度の低速と高速が無く、自動露出機能、ワインダー装着対応などの機能は省略されている。
XR-1の廉価版で、スペックは低いが造りは丁寧で、XR-1の精度・規格はそのまま受け継がれている。

ファインダー:視野率 上下96%、左右93%、倍率0.88倍
マウント:ペンタックスKマウント 標準レンズ:XRリケノン50mm F2
露出計:CdS TTL 中央部重点測光であるが、マニュアル操作
絞込み用ボタンが無いのがXR-1と違っている。
シャッター:コパル、メカニカル金属幕縦走行フォーカルプレーン、B、1/8~1/500秒
セルフタイマー付。XR-1に対し、低速と高速が無く、シャッターユニットにストッパーを付け、回らないようにしている。
大きさ・重さ:140×91×49mm、537g(ボディのみ)
本体価格:標準レンズ付37,300円 ケース2,500円
ボディ 28,300円
巻き上げレバーを引き出しておかないとシャッターが切れない。

ミラー機構にはショックを和らげるためしゃくり上げミラー機構を採用している。ミラー先端の動きを鎖線で示すが、一点鎖線の一般的ミラーの軌跡と比較すると随分内側を通り、しかも上昇ショックに影響する上部の弧の長さが普通の方式の2/3ほどの長さになっている。それだけ運動の方向が分散し、しかも加速される距離が孤の方向で短くなるからショック、音が減じられる。

[掲載文献]
カメラレビュー「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P57、141
20世紀☆カメラ1950~2000 P54
入門金属カメラオールガイド P128
日本カメラ博物館「世界を制した日本のカメラ」 P15

[修理マニュアル]
ジャンクカメラの分解と組み立てに挑戦 P80