2019/09/23
110ED 1975年
形式:レンズシャッター式110カートリッジ使用のポケットインスタマチックカメラ
画面サイズ:13×17mm
レンズ:キヤノンレンズ26mm F2.0(4群5枚構成)
シャッター:自社製電子制御式 8秒~1/500秒
フラッシュシンクロはX接点直結ホットシュー式
ファインダー:ブライトフレーム付き逆ガリレオ式、倍率0.61倍、視野率84%
視野内に近距離用パララックス補正マーク、高輝度警告(赤色LED)低輝度警告兼手振れ警告(黄色LED)、ゾーンフォーカス用近・中・遠距離用のピクトグラフ付き
距離調節:ニ重像合致式距離計内蔵、距離目盛およびゾーンフォーカスマーク付き
EE機構:CdS素子使用の絞り優先式EE、測光連動範囲=EV1~17
絞り2、4、8、16に該当するクリックストップ付きお天気マークあり
デート機構:年・月・日同時写し込みデート機構内蔵
フィルム装填・給送:裏蓋開閉、カートリッジ装填、前面部の保護カバーを全開し、押し式の巻上げノブを押し込み、1がカウンター(裏窓式)に表示されるまで巻き上げ動作を繰り返す。以降は自動停止。
電源:6Vの4G-13型酸化銀電池1個使用
大きさ・重さ:142×30.5×56mm 300g
価格:34,000円、1,500円(ケース)
1972年イーストマン・コダック社はシカゴショーで「ポケットインスタマチック システム」を発表、世界の写真市場に大きな衝撃を与えた。35mmサイズに匹敵する画質が、小さな13×17mm画面で得られる飛躍的に粒状性が向上した新開発フィルムを使用するとのことであった。
裏紙付きフィルムを使用し、カートリッジ入りで、概要はインスタマチックシステムと同様で、別名を110とも言った。
こうした流れを受けて、キヤノンもまたポケットインスタマチックカメラの開発に着手した。他との差別を前提にして、大口径のレンズを開発し、本格的な距離計連動式ファインダー、デート機構付きの「キヤノン110ED」を完成、1975年3月に発売した。
更に系列化を意識して、距離計とデート機構を省略し、レンズもF2.7とした「キヤノン110E」を同時発売した。また、高感度フィルム誕生に合わせたISO400対応、1/1000秒の高速シャッターを備えた「キヤノン110ED20」は1977年9月に発売された。
しかし、画質はやはり35mmフルサイズに勝てず、次第に人気も衰えた。結局、後継機種の開発は見送られることになった。
[掲載文献]
カメラレビュー「クラシックカメラ専科」№31「キヤノンハンドブック」 P112
季刊クラシックカメラ №6 P21、47