2019/09/24

ベスト・ポケット・コダック25BT50 1912年


世界に250万台を売った大ヒットカメラ。
使用フィルム:127判 画面サイズ 4×6.5cm 8枚撮り 巻き上げ:赤窓式
レンズ:1群2枚のメニスカス・アクロマチックの単玉 71㎜、F11位。 固定焦点
ファインダー:反射ファインダー、回転させて縦横画面を切り替える
シャッター:コダック・ボールベアリングシャッター、T、B、1/25、1/50
シャッター羽根と絞りはレンズ前面にある。
絞り:レンズ前フードが付いていて、絞りは4段階の番号目盛付き虹彩絞り。フードを外すと絞りはF6.5位に開く。その場合に現れる球面収差によるソフト効果を利用した写真がわが国で大流行した。(ベス単フード外し)
ボディ:コダック最初の全金属製。寸法:12.1(W)×6.3(H)×2.5(D)cm 重量:260g

1912年に発売され大ブームを起こした普及型カメラ。俗称「ベス単」。ボディ表面の仕上げで初期は黒エナメルの光沢仕上げ(ツル単)、1920年以降は結晶塗り仕上げ(ヒビ単)となる。1915年からオートグラフィック機構が付いて、ベスト・ポケット・オードラフィック・コダック(V.P.A.K)となる。
コダックはベス単に続いてラピッド・レクチリネアー(RR)複玉付、コダック・アナスチグマット7.7固定焦点付、7.7フォーカシング、6.9フォーカシングをシリーズとして発表し、1912年から1925年まで製造を続け、ヒットカメラとなった。英国コダックはこれにロッス、タックなどのレンズを付けて売っていた。
当時のコダック社の「V.P.K」の広告コピーに(持ち運ぶものではなく、時計のように身につけて)、“ベスト・ポケット"すなわちチョッキのポケットに入るカメラというネーミング。
当時は120判フィルムが主流であったが、“小型で薄い"カメラを作りたかったため、V.P.Kのために細軸のフィルム(127判)を作った。このため127判はベスト判と呼ばれた。
カメラの歴史は、機械としての高性能化のほかに「誰でもきれいな写真を失敗無く撮れる」ということの追求であった。これは1888年ジョージ・イーストマンが売り出した「№1 Kodak」以来連綿と続いている。

ドイツのコンテッサ・ネッテル社(シュツットガルト)は、このベス単の模写ともいえる「ピコレット」を製造。これは、小西六のパーレットの原型になった。

[掲載文献]
図説 カメラの歴史 P74
カメラの歴史散歩道 P44、66
クラシックカメラの世界 P18
カメラレビュー「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P127
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №72 P67
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 20世紀世界のカメラ50選 №66 P20
写して楽しむクラシックカメラ Part1 P99
こだわりのカメラ選び Part1 P188
中古カメラウイルス図鑑 P160
神立尚紀 図解・カメラの歴史 P31、188