2019/09/26
アルコ35 1952年
ドイツ以外では珍しい35mmスプリングカメラで、シネカメラで有名だったアルコの製品。
レンズ:コリナー 5cm F2.8(3群5枚構成) №145195
シャッター:セイコーシャラピッド B、1~1/500秒
ファインダー:一眼式連動距離計
焦点調節:まき戻しノブ下のダイヤルを回して、前板部とたすき全体を一体として前後する方式
最短撮影距離:14inch 35cm
巻き上げ/巻き戻し:ノブ式
大きさ・重さ:137×77×50mm、 663g
発売時価格: 27,000円
近接撮影時にはパララックス補正の問題が生じるが、近接撮影用の筒型の外付けファインダーがアクセサリーとして用意されていた。さらにこのカメラを魅力的にしているのは「ビューアルコ」の存在である。これは、その昔ドイツのヒューゴ・メイヤー社がライカ用に開発した「メゴフレックス」というライカを二眼レフにするアクセサリーとよく似たものである。「ビューアルコ」はレフレックス・ファインダーになっており、本体をアクセサリーシューに装着、レンズ下部の足をカメラの前板部上部の取付け部に固定すれば、本体のピンと調整に応じてビューファインダーのレンズも前後し、パララックスも自動補正される。ビューレンズには絞りがあり、被写界深度も見ることができる。
なぜアルコ35は蛇腹を使用したのか。それは接写機能にある。1950年から1960年頃はコピー機は開発途上にあり、殆どカメラによる複写に頼っていた。
アルコ35はマミヤシックスに似た繰り出し機構で、4つのピニオンをボディに収めた箱の側面のラックに噛ませて箱を繰り出す。箱にはX型のタスキで支えられるレンズボードと蛇腹が取り付けられているので、ボディ内をこの箱が10mm以上前後に移動する。繰り出し量が大きいので、付属品無しで35cmまで接写できる。
専用ビューファインダーを付けると約35cmの接写も可能/素通しの等倍ファインダー
アルコ35は初めから二眼レフとして企画されたものではなく、日本では始めての35mmスプリングカメラである。その最大の狙いは超接写を可能とすることで、巻き戻しノブの基部にある焦点調節ノブを回し、蛇腹の伸びにまかせてレンズ前板を繰り出していくと11mmも伸びて約36cmまで被写体に肉薄できる。しかもそれが距離計に連動する。そのためパララックスを修正できる箱型の外付けファインダーが用意されていたが、それをより完璧にしたのがアクセサリーとして供給されたビューアルコだった。
ビューアルコは撮影レンズと同じ3群5枚の50mm F2.8のビューレンズを持つ折り畳み式レフレックスファインダーで、本体のアクセサリーシューに装着し、レンズ側の足に付いたネジを、カメラ側のレンズ前板のソケットにねじ込めば、繰り出しに応じて焦点調節ができる仕掛けになっている。またこのビューファインダーにも絞りが付いていて距離計連動機では不可能な深度やボケの確認ができる。
[掲載文献]
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P234
カメラレビュー 2005年 №76 P13、16
カメラレビュー 2005年 №78 P75、78
クラシックカメラ倶楽部 P36
クラシックカメラ便利帳 P159
使うスプリングカメラ P82
スプリングカメラで行こう P64
写して楽しむクラシックカメラ(使い方) P47
20世紀☆カメラ1950~2000 P9
中古カメラあれも欲しいこれも欲しい P115