2019/09/23
A-1 1978年
シャッター速度優先、絞り優先に加えプログラムオートを搭載したキヤノン初のマルチモードAE機。ファインダー内表示は7セグメントの赤いAEDで別名「カメラロボット」と称していた。
マウント:FDマウント、FLレンズは絞込みAE可能
測光方式:中央重点平均測光(DPD使用)
接眼レンズ上部にシリコンフォトセル受光素子を設け、フレネルレンズにより採光処理をしたTTL中央重点測光
露出制御:絞り優先AE
シャッター:4軸駆動横走行布幕フォーカルプレーン、30秒~1/1000秒
全速電子制御式。時間調節式セルフタイマー内蔵
マニュアル、B、X(1/60秒)、X接点及びホットシュー式
ファインダー:ペンタプリズム固定式、
視野率上下93.4%、左右96.3%、倍率0.83倍
スクリーン中央にスプリットイメージ式距離計、その周辺にマイクロプリズム式距離計を備えたフレネルマット式。
アイピースシャッター機能付
交換スクリーン6種類完備
ファインダー内表示:7セグメントのLEDによるデジタル表示
測光・露出制御:SPC素子使用。TTL開放中央重点、平均測光/絞込み測光
電池:6Vの4GR-13型酸化銀電池、または4SR44
寸法・重さ:141×91.5×47.5mm、620g
発売時価格:83,000円
50mm F1.4付 114,000円
シャッターボタンの下のレバーは絞り優先AE(Av)とシャッター優先AE(Tv)を切り換えるもの。シャッターダイヤルをPに合わせるとシャッター速度が自動になり、絞りをAに合わせるとプログラムオートになる。
巻き戻しクランクの右前方にある小さなレバーでファインダー内表示をON、OFFできる。このレバーの内側のボタンはバッテリーチェックである。バッテリーはグリップを取り外した内側に入っている。
巻き上げレバーの右にある「2」と「10」の数字はセルフタイマーで、レバーに付いている小さな枠を合わせるとその秒後にシャッターが切れる。
このさらに下にある小さなレバーを内側に押し込むと多重露光ができる。
フィルム感度は巻き戻しクランクの下のダイヤル左側の数字で、側面にあるレバーを押しながら回転させて合わせる。同じ盤の右には露出補正の目盛が刻まれているが、フィルム位置マークの隣にあるロック解除ボタンを押しながら合わせる。1/3EV段階で補正ができる。
「両優先AE」でミノルタXDに続いたのがキヤノンA-1である。
A-1はAE-1の上級・高機能機種として発表された。
A-1はミノルタXDに搭載されたシャッター速度優先と絞り優先の両方のモードに加え、プログラムAE、絞込み実絞りAE、ストロボAE、手動撮影の合わせて6モードのAEをウリにしていた。
全電子制御機構、モータードライブMAによる5コマ/秒の連写性能を持っている。
連写性能はハイアマチュア向け製品としては破格の性能であり、比較的高価であったにもかかわらず良好な売り上げを記録した。反面、当時は全電子制御の一眼レフに一種の抵抗感も存在し「電池が切れたらただの箱」として敬遠するむきもあった。また消費電力が多いことでも有名で、同じ電池を使うAE-1に比べてデジタル表示の多い分だけ電池の消耗が大きく、測光・シャッター制御用の高価なSR44電池が、通常の使用では1年持つところ、2~3ヶ月で切れてしまうこともあった。
A-1はハイアマチュア層のみならず中高生からプロ写真家まで広く愛用されていたが、折からの銀価格高騰により、1980年ころには4GR-13型酸化銀電池1個が4,000円にもなった。
A-1の導入時のカタログや広告には、明らかにスターウォーズのイメージが無版権で採用されていた。
ミノルタVD、キヤノンA-1によりシャッター速度優先か絞り優先かの議論に終止符が打たれた。
また、シャッターのタイムラグがニコンF2が0.02sec、キヤノンF-1 0.04secのところミノルタXDは0.11sec、キヤノンA-1は0.13secと長かった。
こうした状況の中、ニコンFEが「シンプルニコン」というキャッチコピーで登場する。
[掲載文献]
図説 カメラの歴史 P192
MF一眼レフ名機大図鑑「ニューフェース診断室」再録 P283
カメラレビュー クラシックカメラ専科 №31 「キヤノンハンドブック」 P46、66
カメラレビュー クラシックカメラ専科 2005年 №77 P42
マニュアルキヤノンの全て P70
20世紀☆カメラ P54
図解・カメラの歴史 P161
入門・金属カメラオールガイド P93
季刊クラシックカメラ№6 「キヤノン」 P18
日本カメラ博物館「世界を制した日本のカメラ」 P21