2019/09/26
FTA 1968年
外部測光だったオートレックスをTTL化。フォーカルプレーン式35mm一眼レフ初のTTL AE機。今日の自動露出を先取りしたカメラ。
マウント:コニカマウントⅡ型
ファィンダー:ペンタプリズム固定式、視野率83%、倍率0.93倍、スクリーン交換不可
標準レンズ:ヘキサノンAR 52mm F1.8 №7816676
シャッター:コパルスクウェアS 金属ブレード縦走り、プログラム式AE
B、1~1/1000秒、セルフタイマー付
露出制御:CdS受光素子、TTL開放測光、中央重点式、速度優先AE
フィルム給送:レバー巻上げ、クランク巻き戻し、分割巻上げ不可
電源:SR41W又はMR44×2及びH-D水銀電池各2個
大きさ・重さ:148×95×48.5mm、747g(本体のみ)
148×95×96mm、1140g(57mm F1.2付)
価格:本体33,000円 ブラックは1200円高
ヘキサノン57mm F1.4付 53,500円 ケース2,500円
ヘキサノン52mm F1.8付 43,000円
コニカFTAはTTLシャッター優先AEであるが、ペンタックス初のTTL開放測光AE搭載のアサヒペンタックスES(TTL絞り優先AE)より3年前、アサヒペンタックスSLの時期に、TTL開放測光AEを実現した。FTAはFlex、TTL、Automaticを表す。
コパルスクウェアSシャッターはニコンFTnにも採用されている。
露出計の連動には、ミノルタSRT101のように紐が使われている。
TTL測光は、ファインダーの両脇に測光素子(CdS素子)が2つ、受光部を内側に傾けて配置し、深いフードを付けている。従ってピントグラスからペンタプリズムを通して入ってきた光は斜めの方向から測光されている。この受光部の配置とフードの効果で、装着したレンズの種類により、広角レンズの場合は平均的な、望遠レンズの場合はスポット的な測光が行われるようになっていて、コニカはこれを可変測光効果と呼んでいた。
レンズマウントは変更無く、コニカマウントⅡ型だが、レンズのF値を機体側に伝える必要があり、これにはF値セットリングを使用している。オートレックス用レンズは装着できるが、自動露出は機能しない。
シャッターダイヤルには、ストッパーが組み込まれ、露出計の連動範囲を超えて回転しないようになっている。シャッターダイヤル脇のオーバーライドレバーを押しながらダイヤルを回すとストッパーが解除される。この他コニカ共通の特徴としてフランジバックが短いことが挙げられる。
FTAのシャッターボタンは2段式で、1段目のストロークでメーター指針を押さえ込み、2段目でシャッターが切れる。シャッターボタンがボディから大きく飛び出していてストロークが長い。
KONICAのロゴも通称髭付きといわれた書体から変更された。
小西六の35mm版フォーカルプレーン式一眼レフは、初期のFS、FP、FMの時は4枚羽根のコパルスクウェア金属シャッターを組み込んだため、カメラの背が高く、無骨な感じだったが、オートレックスからは6枚羽根のコパルスクウェアSを採用して、背丈が約10mm低くなり、その上ボディに丸みをつけた結果、それまでの外観が一変、ややソフトなスタイルとなった。それがFTAではボディが八角のオクタゴンスタイルとなり、ファインダーカバーと底部カバーの深さが増して、ごく普通のスタイルとなった。重量はオートレックスと同じくらいで重い。
オートレックスは一眼レフに自動露出(AE)を組み込んだ点で先進的であったが、市場の関心はTTL測光に向いていて、コニカの自動露出はあまり評価されなかった。そもそも初めてTTL測光を実用化したトプコンREスーパーは、オートレックスより2年以上も早く発売されていた。
[掲載文献]
コニカカメラの50年 P 101
MF一眼レフ名機大鑑 P84
マニュアルカメラ全集 P50
入門金属カメラオールガイド P57
国産実用中古カメラ買い方ガイド100 P104
[修理マニュアル]
カメラの改造と修理術 P31