2019/09/23

T50 1983年


国産初のモノプログラム式AE一眼レフカメラ。
一眼レフかフルオートカメラかのユーザーの要求に対するキヤノンの回答がこれだった。未来派志向の一眼レフとして新たに企画された「Tシリーズ」の先駆けとなったヒット作。
オートボーイで好評を得ていたワインダー機能を内蔵し、プログラムAEを前面に出した自動化カメラ。1983年のグッドデザイン賞を受賞した。国内での愛称は「オートマン」。

マウント:外3爪バヨネット式
ファインダー:ペンタプリズム固定アイレベル式、倍率0.83倍、視野率92-93%
マイクロ/ニュースプリット複合型距離計付きレーザーマット
装着レンズ:キヤノンズームレンズ FD35-70mm F3.5-4.5 №45776
シャッター:縦走行電子制御フォーカルプレーン 2秒~1/1000秒
マニュアル時、X接点 1/60秒 電子制御セルフタイマー内蔵
露出制御:SPC素子、TTL開放測光プログラムAE 中央重点平均測光
フィルム装填・給送:フィルム位置合わせ、裏蓋閉じてレリーズボタンを押し続けると自動セットされるセミオートローディング。内蔵モーターによる自動巻上げ。連続0.7コマ/秒。
巻き戻し:クランク式
電池:単三型乾電池2本
大きさ・重さ:151×89×57mm、495g(ボディ、電池なし)
価格:ボディ45,000円 標準レンズ付き80,000円

1980年代初頭、カメラの主力機種は35mm一眼レフであったが、ユーザーのライフスタイルの変化もあり、カメラ離れ、一眼レフ離れの声が聞かれるようになって来た。一眼レフの国内生産台数が1981年度の767万台をピークに低下し始め、2年後の1983年度には537万台と30%減と落ち込んでいた。こうした中、新たな35mm一眼レフ市場を創造すべきと考え、キヤノンはTシリーズと名付けた新機種開発に踏み切った。それは、パーソナル化・ソフト化―への展開を意味した消費者の感覚・感性に対して充分に対応できること、ライフスタイルの多様化にこたえられること、単なる機能の自動化、単なる多機能化への追及ではなく、ユーザーの意志に応える自動化、意味のある多機能化を追い求め、具現化することであった。その第一弾として国産初のモノプログラム式AE一眼レフのT50を発売した。至って簡素な仕様であったが、簡単操作の機能が評価を受けて、高級システム一眼レフのユーザーには手ごろなサブカメラとして、一眼レフは初めてというユーザーにも多く受け入れられてヒット商品になった。

1983年 T50
1984年 T70 大型液晶パネルを初搭載
1985年 T80 キヤノン初のオートフォーカス式35mm一眼レフ
1986年 T90 Tシリーズの最高級機種。
キヤノンの最後で最高のマニュアルフォーカス機

[掲載文献]
カメラレビュー クラシックカメラ専科 №31 「キヤノンハンドブック」 P52、68
マニュアルキヤノンのすべて P74
季刊クラシックカメラ「キヤノン」 P19
往年のキヤノンカメラ図鑑 P82