2019/10/18

オートセミミノルタ 1937年


外皮傷み、ピントノブ固着、レンズ曇り

形式:蛇腹折畳み式カメラ、120フィルム使用の6×4.5cm判。
ファインダー:基線長42mm(有効長21mm)、倍率0.5倍
黄色のファインダー内にピンクの距離計窓が付いている、一眼式、二重像合致式連動距離計。
レンズ:Promar Anastigmat 75mm F3.5 (Nr72600)
レンズは旭光学(後のペンタックス)製で3群4枚構成、テッサータイプ
シャッター:CROWN RAPID T、B、1~1/400秒 (CROWNⅡ TIYOKO)
絞り:3.5~25
ピント調節:レンズ全群移動方式。
ラックピニオンによる繰出し量をシャフトで距離計に伝達。
フィルム給送:赤窓式、最初の番号を出すと、後は自動ストップ
大きさ・重さ:131×110×44mm、790g
価格:クラウン付き248円、コンパー付き185円

日本カメラ博物館に展示されている。
他にシャッターがデッケル社(ドイツ)のコンパーS付があった。本機は自社製クラウンラビット付である。
セミミノルタの初代機は1932年(昭和7年)で、セミミノルタ(改)、セミミノルタⅡに次いで1937年(昭和12年)に発表されたのが本機で、日本で最初に連動距離計およびフィルム巻上げの自動ストップ機構を搭載した革新的カメラであり、レンズはF3.5と明るく、シャッター速度は最高速1/400秒まであり、当時国産レンズシャッターカメラの最高峰の高級機で、価格も学卒の初任給の約3倍強という高価格であったといわれている。
ただし、基本構成はドイツ・ウェルツル社の「ウェルツル」の模倣である。
セミ判スプリングカメラは、戦後1946年(昭和21年)セミミノルタⅢAとして復活する。

オートセミミノルタ発売当時国産のカメラで距離計を搭載していたカメラは、
1937年スーパーセミプラウド(プラウド社) ウェハークロームシックス(山本写真機店) ドレーカイル式連動距離計
1937年オートセミミノルタ、オートプレスミノルタ(千代田光学精工)一眼式連動距離計
1939年ライラックス(富士光学工業) 単独距離計
1940年マミヤシックス(マミヤ光機) バックフォーカス式
などであり、日本では最も早く連動距離計が搭載された機種である。当時のスプリングカメラでは、ほとんどが折畳み式ファインダーであった。

世界では、
1916年№3A オートグラフィック・コダック・スペシャル(アメリカ、コダック、最初の距離計連動機種)
122判ロールフィルム使用で8×14cm判。レンズボードを支える前枠の基部に箱型の上中下三段の中間の像を、横から覗いて合致させ、レンズボードの前後動にリンクする機構の連動距離計を搭載していた。
1930年アグファ・スタンダード(ドイツ)
蛇腹折畳み式カメラで、120フィルム使用の6×9cm判。
このカメラが初めてボディ部に連動距離計を搭載した。
1931年ローランド(ドイツ、プラズマート社)
120フィルム使用。一眼式連動距離計を初めて搭載した。
1932年プロミネント(ドイツ、フォクトレンダー・単独距離計)
1934年スーパーネッテルとスーパーイコンタ(ドイツ、ツァイス・イコンのドレーカイル式連動距離計)
1935年ロールオーピー
コダック・バンタム・スペシャル(アメリカ、コダック)
1937年ウエルチニ
1938年スーパーコダック620(アメリカ、コダック)
1941年コダック・エクトラ(アメリカ、コダック)
等である。

35mmフィルムカメラで連動距離計を搭載したのは、1932年のライカⅡ型とコンタックスが最初である。

[掲載文献]
カメラレビュー クラシックカメラ専科 「オートセミミノルタ分解記」 №76 P116
カメラの歴史散歩道 P181~186

[分解記]
クラシックカメラ専科76 クラシックカメラ形と機能「オートセミミノルタ分解記」 P116