2019/10/17
ハイカラー35S 1970年
オートハーフと同様にゼンマイによるフィルム巻上げ機構を搭載したフルサイズモデル。
S型はセルフタイマーを装備。アルミ化粧板に多くのバリエーションがある。
形式:35mmフルサイズレンズシャッターカメラ
レンズ:カラーリケノン 35mm F2.8、3群4枚構成
シャッター:セイコーBS11A 1/30、1/60、1/125秒(オート時)、1/300秒
ビハインド式シャッター、セルフタイマー付
シャッター速度はボディ下、鏡胴基部のリングを回して設定。
フォーカス:ゾーン目測式、前玉回転式
ファインダー:実像式。フォーカスゾーンおよび露出不足警告ファインダー内表示
露出調整:CdS素子、シャッター速度優先、 CdSメーター針押さえ式AE
マニュアル絞り非連動
巻き上げ:スプリング巻上げ。フィルムが入っていないと作動しない。
巻き戻し:ゼンマイ巻き上げノブの基部にあるリングを時計回りに回し、赤マークを合わせ、中央のボタンを押すとゼンマイが解放される。その後に巻き戻しクランクで巻き戻す。
電池:SR44またはLR44 電池室はボディ上面右側のネジを外す。
電池が無くてもフルマニュアルで撮影可
大きさ・重さ:114.5×83.5×53mm、470g
価格:17,300円、ケース1,300円
スプリングモーターによる自動巻上げがリコーのカメラの看板になった観があり、シリーズの延長が必要になった。
オートショットが好評だったが、セレン光電池によるAEなどデバイス使用の面で旧式になったため、AE機能を一新して、機能向上を図った。CdSメーターを採用して感度を上げる、マニュアルでシャッタースピードの多少の調節が可能、セルフタイマーの内装など、機能の少ないモデルから多機能モデルまでをシリーズとして発売した。
S型では、セルフタイマーの組み込みの関係でボディを32mmから37mmとしたが、露出制御以外は、経験の深いオートショットのメカニズムそのままとしてある。
初期のモデルは、シャッターボタンがボディ前面にあったが、途中からシャッターボタンをボディ上部に変更した。
「リコーオートショット」
「リコースーパーショット」
1963年ドイツ・ケルンで開かれた「フォトキナ」にポラロイドが電子シャッター付のイ ンスタントカメラを発表。シャッターメーカ ーのプロンターも一般カメラ用を目的とした電子シャッターを発表した。この年からカメラに電子回路が急速に導入され始めた。
日本では精工舎とコパル電子が開発を行った。精工舎はそれまでのSEIKO SLVシャッターとは全く別にSEIKO ESを開発。このシャッターはAEの動作はプログラム露出オンリー。高EVではシャッター羽根が少し開いてすぐ閉まる。フラッシュモードは1/30秒のみにしてある。
これは、シャッターチャージの時のトルクが小さく、リコーの自動巻上げカメラシステムにぴったりだった。
リコーは、自動巻きと電子シャッターの組み合わせ機構のカメラで、レンズの大口径化競争の対策上、F1.7レンズ付、SEIKO ESシャッター付きの「リコースーパーショット」を1965年に出したが、シャッターが大きく・重いことと、レンズの大口径化のため大きく・重くなり、カメラが大きく・重くなった。
[掲載文献]
20世紀☆カメラ1950~2000 P42 日本のカメラ P135
カメラレビュー「クラシックカメラ専科」 2007年 №84 P45
カメラスタイル 平成13年12月 P82
「オートショット」
カメラレビュー「クラシックカメラ専科」 2007年 №84 P 43、84
中古カメラの逆襲 P65