旭光学初のカメラはいきなり35mm一眼レフであった。
その母型となったのは1955年に発表されたプラスチフレックスである。
1952年、「アサヒフレックス」は日本最初の35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフとして発売。Ⅰ型はミラーのバネが戻り側に配置されていて、シャッター作動後に自動で戻る半クイックリターン式になっていた。ペンタプリズム装着以前のウエストレベルタイプの一眼レフであり、ウエストレベルファインダーの見づらさを補うために、透視ファインダーを装備した。
1954年に発売されたⅡB型で、クイックリターン式ミラーが採用された。クイックリターン式ミラーは「アサヒフレックスⅡB」が実質的に、世界最初である。
実際には、ハンガリーの「デュフレックス」が最初であったが、東欧圏であり、生産量も少なく、市場であまり知られていなかった。
ⅠAはⅠ型のシャッターを7速から6速に整理したもので、また2芯のシンクロターミナルになり、識別できる。長いレリーズボタンを押していくとミラーが上がり、離すとミラーが復元する。ⅡBはシャッター・レリーズが短いので識別できる。
日本でもミランダの設計者、荻原彰の1954年の特許や、荒尾清の1953の特許にクイックリターン機構が記載されていた。
その後、スローシャッターを搭載したフルスペックのⅡA型が続いている。
レンズ:タクマー、50mm F3.5、 交換可能
シャッター:布膜フォーカルプレーン・シャッター、 B、1/20~1/1000秒
ファインダー:一眼レフおよび透視ファインダー(逆ガリレオ式 倍率0.6倍 視野率97%)
ピント調節:回転ヘリコイド
寸法・重さ:144×75×72mm、651g
発売当時の価格:26,700円(ⅠA型、タクマーF3.5付き) ⅡB 3.5は27,900円
タクマーレンズは「切磋琢磨」からネーミングされた。
アサヒフレックスⅠ型は1952年発売。ケース込みで23,000円であった。
1953年に小改良されてアサヒフレックスⅠA型となる。外観上は、シンクロ接点が2芯式
となり、底部の三脚ネジ穴の位置が、Ⅰ型の端部から中央に移され安定度が増している。
またレンズの絞り制御がプリセット式となり、ピント合わせと撮影時の絞り設定が容易になっている。さらに最短撮影距離が70cmとなっている。
[旭光学の歴史]
1919年 | 旭光学合資会社設立 |
2002年 | ペンタックス㈱に変更 |
2007年 | HOYA㈱の子会社となって、東証一部上場廃止 |
2011年 | デジタルカメラ事業はリコー㈱に譲渡され、現在はリコーの子会社であるペンタックスリコーイメージング㈱としてカメラ事業を継続している。 |
[掲載文献]
日本のカメラ P114 2000-2001 カメラこだわり読本 P63
カメラの歴史散歩道 P110 クラシックカメラの世界 P64
クラシックカメラ倶楽部 P72 金属カメラ・オールガイド P38
ペンタックスの全て P18
カメラレビュー「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P127
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №62 P90
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №73 P104
(クイックリターン特許論争について記述あり)
こだわりのカメラ選び Part2 P116 マニュアルカメラ全集 P18
写真工業 2005年5月号 V0l63 №673 P93
写真工業 2006年1月号(Vol64 №681) P34
小倉磐夫 「国産カメラ開発物語」 P136 、143 神立尚紀 図解・カメラの歴史 P96
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P251 あれも欲しいこれも欲しい P109