2019/10/19
F4 1988年
ニコンフラッグシップ機初のAF機。ニコンF一桁モデルで初の縦走りシャッターを採用。
F3同様ジウジアーロのデザイン。F3に続きNASAにも採用された実力機。
F3から一気に巨大化したボディ。
マウント:ニコンFマウント
ファインダー:アイレベル交換式、4種類、視野率 100%、倍率 0.75倍
スクリン交換式(12種類)、クリアマットスクリーンⅡ標準
AF制御:ニコンアドバンス2000AFセンサー搭載。測距点は中央1点のみだが、クロス測距ポイントとなっていて、当時のトップレベルのフォーカス精度であった。
露出制御モード:プログラムオート、高速プログラムオート、シャッター速度優先オート、絞り優先オート、マニュアル
測光モード:測光モードセレクターはプリズムカバー右側に設置。
スポット、マルチパターン、中央部重点の3種類
スポット測光の範囲はスクリーン中央部の直径5mm部分を測る。
測光範囲:EV0~21
露出補正値:1/3ステップ、±2EV
ISO感度設定:6~6400 DXコード
シャッター速度:電子制御式、縦走りフォーカルプレーン、T、B、30~1/8000秒
X同調 1/250秒
シャッター速度切り換えはダイヤル式
プレビュー・ミラーアップ・AEロック・AFロック:
エプロン部に並ぶ3つのボタン。上はプレビューボタンで、押しながらレバーを回すとミラーアップされる。
中央がAFロックボタンで、同軸上のレバーを白とオレンジのマークが並ぶ方にセットしておくとAF/AE同時ロックとなる。
一番下はAEロックボタン
フィルム給送:モータードライブ内蔵、最高4コマ/秒
巻き上げ方式ダイヤルはメインスイッチを兼ねる。
フィルムを入れないと作動しない。空シャッター不能。
S:シングル、C:連続巻上げでCHは高速巻上げ、CLは低速巻上げ、CSは超低速巻上げを表す。
フィルム巻き戻し:R1レバーの中心部を押してロック解除し、レバーを捻りスプロケットをフリーにし、次にR2レバーを同様の操作をするとモーターで巻き戻す2ステップ操作。
手動で巻き戻すことも可能。
スピードライトのシンクロ接点:
ニコンのフラッグシップ機で初めてプリズムカバー上部にホットシューを採用。汎用品のフラッシュも普通に使えるようになった。
バッテリー:基本ボディのバッテリーパックは、単3型乾電池4本使用するMB-20型。
他に単3型乾電池6本を使うMB-21型(F4S)、とMB-23型(F4E)がある。
大きさ・重さ:168.5×117.5×76.5mm、1072g
ボディ価格:226,000円
FからF3まではチタン幕横走り式だったシャッターが縦走り式になり、スピードライト同調速度が1/80秒から1/250秒と速くなった。AEはFAで初採用された5分割マルチモードとなり、測光方式も中央部重点測光のみからマルチパターン測光、スポット測光、中央部重点測光が任意に選べるようになった。
先行するライバル機と違い、各操作部は伝統的なダイヤル式で、マニュアル感覚を濃厚に残したデザインであるがモーターが内蔵され巻き上げレバーが無くなった。
内部は金属だが外装にプラスチックを使用するなど、賛否両論はあったが、フラッグシップ・ニコンに劇的な変化を与えたのがF4シリーズであった。
スペック上に現れる機能に加え、ピントのヤマがつかみやすい優れたスクリーンと、明るく見やすい最高のファインダーという性能も絶賛された。歴代ニコンのナンバー1の秀逸なファインダーである。
AF測距点は中央1点だけだが、精度は高く信頼できるものであったが、合焦速度が遅く、F4を肯定する愛用者の多くは「AF機能付最高峰MF機」と評していた。
また、Ai以降のレンズであればマルチパターン測光が可能になる。非Aiレンズも装着でき、F3AF用のモーター内蔵レンズもAFレンズとして使える。
ニコンF4のライバルとして出てきたのがキヤノンEOS-1(1989年)である。ここで、ニコンとキヤノンの立場が逆転した。AF性能がキヤノンEOA-1の方が優れていたからである。
ただ、F4は「高性能MF機」と割り切って考えると、非常に優れたカメラであった。
本機は左肩が出っ張っているので後期型になる。
[掲載文献]
CAPA ニコン一眼レフのすべて P106
2000-2001 カメラこだわり読本 P41
極上カメラ100 P70
20世紀☆カメラ1950~2000 P72
趣味のニコンカメラ P108
究極のニコンカメラ P122
ニコンカメラのココが一番・攻略百科 P30
絶対ニコン主義 P148
季刊クラシックカメラ№2 ニコン P25
図解・カメラの歴史 P215