ツァイスの35mmスプリングカメラの普及機。
第二次大戦終結後、ツァイスイコン社として最初に生産を再開したカメラ。
レンズ:シュナイダー クセナー45mm F2.8 №2085441
シャッター:コンパーラビット00番 B、1~1/500秒、二重露光防止機構付
フィルムを入れないとシャッターがチャージされない。
焦点調節:前玉回転式
大きさ・重さ:120×74.5×41mm、475g
デザインは、コンタックスⅡの主要なデザイナーだったHubert Nerwinによって設計された。
イコンタ35は1948年から1954年にシュトットガルトのツァイスイコン工場で生産された。
イコンタ35は1926年にツァイスイコン社が成立した後、初めて自社製カメラとなったスプリングカメラ「イコンタ」の流れを汲む35mm判小型カメラである。イコンタにはフォーマットの違いで7種類が知られているが、イコンタ35は最小のカメラ。
販売は1947年頃からで、(1939年頃の説もある)最後のイコンタでもある。
当時35mm判小型カメラでは、ドイツコダック社のレチナが大成功を収めていて、ツァイスイコン社としても対抗機種を出す必要があり、戦前から開発が進められていた。
イコンタ35には普及機のトリプレットタイプのノバー45mm F3.5付、高級機にはテッサー45mm F2.8が装着された。1949年から1951年にかけて一時期だけシュナイダー社のクセナー45mm F2.8レンズが装着された。シャッターにプロンターS付(~1/300秒)のものもあった。
イコンタ35は開いても蛇腹は見えない。イコンタ35を開発中、既に距離計や露出計搭載の計画が進んでいたので、巻き上げ・巻き戻しノブは底部にある。初期型にはアクセサリーシューが無く本機は後期型である。
イコンタ35は、1951年頃からコンティナⅠ型としても販売され、1953年にイコンタ35は販売終了。その後は1955年頃までコンティナⅠ型として販売が継続された。
このイコンタ35をベースにして、連動距離計と単独露出計が装着された高級機として開発されたのがコンテッサ35である。
1949年 | イコンタ35(1952年からコンティナⅠ型と改称) |
1950年 | コンテッサ35 |
1951年 | コンテッサ35から連動距離計と露出計を無くした代わりに単独距離計を組み込んで廉価版としたコンティナⅡ型を発売。 |
世界初のスプリングカメラ「イコンタ」を世に送り出したツァイス・イコンも、135フィルム使用のイコンタの発売は意外と遅く戦後の1948年である。それまでは、127フィルム使用の3×4cm判イコンタ(530/18)が最も小さなフォーマットのイコンタであった。
イコンタ35(522/24)は1948年発売であるから、ツァイス・イコンが旧西ドイツ、シュトゥットガルトに移ってからの製品である。
本機体は1950年以降に作られたセカンドバージョンで、違いはシンクロ接点とアクセサリーシューが付け加えられたことである。ボディはイコンタ伝統の12面体をしているが板金ボディではなくアルミダイキャスト製である。
巻き上げ・巻き戻しの両ノブとフィルムカウンターは底面に配置されている。左肩の丸いものはフィルムインジケーターであるが、右肩のそれはユニークな三脚台座である。中央のネジをコインで緩めて使用する。従って逆さに三脚に取り付けることになり、開いた前蓋がレンズの日除けの役をしてくれることになる。小さなファインダーは、逆ガリレオ式で倍率は低い。
[掲載文献]
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P45
カメラレビュー 2005年 №78 P74
使うスプリングカメラ P76
スプリングカメラでいこう P58
季刊クラシックカメラ№12 「小さな巨人オリンパス」 P100