2019/10/07
Mercury Ⅱ 1945年
35mmフィルム使用の18×24mmハーフ判カメラ。アメリカのユニバーサル社製。
形式:35mmハーフサイズ・フォーカルプレーン式
レンズ:ウォーレンサック社製TRICOR 35㎜ F3.5
トリプレットタイプ (レンズ№105979)
ヘリコイド直進式
シャッター:円盤回転式フォーカルプレーン、T、B、1/20~1/1000秒
向かって右側のノブを押し込みながら回してセット。
フィルムを巻き上げてからセットする。
巻き上げ:向かって左側のノブを回す。
寸法・重さ:143×94×54mm、598g
1938年に発売された最初のモデルはユニベックス・マーキュリー(Ⅰ型とも呼ばれている)で専用マガジンを使う巻き戻し不要の型だった。戦後に発売されたのがマーキュリーⅡ型である。この二つのカメラは、外見上見分けがつかないくらいよく似ているが、最大の違いはユニベックス・マーキュリーが特殊なカートリッジを使っていて、同じ35mm用のパーフォレーション付フィルムを使っていながら市販のパトローネ入りフィルムが使えないことである。このため市販のパトローネより低いカートリッジを使うため外形が63×134×35mmと型に比べ一回り小さくなっている。Ⅱ型で標準の35mmフィルムを使うようになった。
また、Ⅰ型では半月形の両端にストラップ用の耳が付いているがⅡ型にはない。
レンズは交換式で、標準レンズは、トリコール35mm F2.8とF3.5のみで、その他の交換レンズは無かったようだ。
シャッターはメタルロータリー式フォーカルプレン式で、このためカメラ上部に大きな円弧状の突起があり、これが外観上の大きな特徴となっている。これは重なり合った半月形の2枚の金属板が感光面の直前を回転することにより露光を行うもので、シャッタースピードの変化は、2枚の半月形の金属板が重なり合ってズレを作るその間隔の差で行う。このシャッターメカニズムはそれまで35ミリ用の撮影機に使われていたものである。
巻上げは、全面の向かって左上のノブで行う。ハーフ判カメラとしては大型のカメラである。
終戦後、アメリカの進駐軍が日本で盛んに持ち歩いていたカメラである。
ユニバーサル社はホームムービー用8mmカメラの大メーカー。シャッターはシネカメラと同じ回転式で、回転速度は一定、スリットの幅で露出時間を調節する。
オリンパスペンFと同じ形式であるが、このように大きくなりアメリカらしいデザインである。
また、ユニバーサル社は、1933年にわずか39セントというプラスチックカメラ「ユニバーサルA」を発売。以来ユニバーサルアイリス、8ミリのユニベックス(9ドル95セント)などローコストのカメラ専門のメーカーであった。
[掲載文献]
カメラレビュー「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P152
カメラの歴史散歩道 P225
クラシックカメラ倶楽部 P56
世界の名作カメラ100 P65
中古カメラ大集合 P247
季刊クラシックカメラ4 厳選19機種国産35ミリ一眼レフの名機 P68