2019/10/08

New Auto Mat 120 1999年


(低速シャッター、セルフタイマー不調)

東京のテクサ㈱が販売する中国製二眼レフ。
生産しているのは、ほぼ同スペックの「海鴎」二眼レフを出している上海のシーガルらしい。
レンズ:TEXER TWIN LENS
撮影用:75mm F3.5(3群4枚構成)
ファインダー用:75mm F2.8
シャッター:機械式レンズシャッター、B、1~1/300秒、X全速同調
絞り:3.5~22
ファインダー:スクリーン固定式、ウエストレベルファインダー
フレネルレンズ付マット面、中央にスプリットイメージ距離計付
ファインダーフードの前面を内側に折り畳むと、後部から視野を確認できるスポーツファインダーになる。
巻き上げ:クランク巻上げ(下から上へ巻き上げ)、逆回しでシャッターチャージ
(ローライフレックスと同じ方式)
フィルムバック:非交換式
その他:専用のテレコンバーター、クローズアップレンズ有り。
大きさ・重さ:95×143×98mm、963g
価格:49,800円
MADE FOR TEXER JAPANの表示あり

「テクサ・ニューオートマット120」はシーガル(海鴎)をベースに、シーガル4Aを日本市場向けに仕様変更した製品であり、レンズが3群4枚構成のテッサータイプ、ピントフードはローライフレックスと同じ屏風式、フレネルレンズが標準装備となり中央部にはスプリットイメージが付いた。すりガラスに格子線だけのシーガルより大きく進歩。価格はテクサがローライフレックス2.8FXの約1/20である。
シーガル二眼レフは、1963年「ローライコード」を手本とした「上海4型」が登場、翌年「海鴎4型」と改名され、シーガル二眼レフの幕開けとなり、1968年にセルフコッキング機能のついた4Aにスペックアップ。
「テクサ・オートマットS-500」はシャッターダイヤルや絞りダイヤルがローライ風になりデザインが向上、シャッター速度が1/500秒に上がり、レンズはテッサータイプとなった。

岩田達郎氏は、昭和10年生まれ、ヤシカに入社して営業を担当、名物社長だった牛山氏の辞任とともに退社、チノンの国内販売部であるチノン商事に立ち上げから参画、チノンの国内販売を開拓という経歴を持つ。この岩田氏がアジアに目をつけたのはヤシカ時代で、ヤシカは国内光学メーカーとして初の海外工場を香港に建設。この経験からアジアでの物作りに自信を持った。その後独立した岩田氏は「岩田エンタープライズ」という社名で、さまざまなカメラを販売するようになる。これらのカメラは、香港製、台湾製、韓国製などであったが、円高の影響などで行き着いたのが中国であった。最初に手がけたのは二眼レフ「海鴎」であった。検査済みの約束のカメラを一万台輸入したら半数が不良品。これではいけないとヤシカ時代の僚友を中国に送り、生産管理を実施、デザインを独自化して自社ブランド「テクサ」を誕生させた。

中判カメラで最も安価なカメラであった。

[掲載文献]
ロシア製カメラ&中国製カメラの攻略ガイド P75、102
魅力再発見・二眼レフ P180
玄光社Mook 最新中判カメラマニュアル P134(会津若松市立図書館)