2019/10/19

New FM2(ブラック) 1984


(ブラック)

ニコンFMは、ニコンが初めて本格的にコンパクト設計に取り組んだモデル。マニュアルニコンの代表機で、中級機のスタンダード。

型式:機械式35mm判一眼レフ
シャッター:金属羽根縦走りフォーカルプレーン。B、1~1/4000秒。
セルフタイマー付き
視野率:約93%
倍率(50mm使用、∞時):約0.86倍
ファインダー:固定式。ファインダー・スクリーン交換可
露出制御:TTL中央重点測光SPD、マニュアル操作
ファインダー内露出表示:露出5段階(LED3個)
シンクロ接点:X接点。同調1/250秒以下
フィルム巻上げ:レバー一回式。分割巻上げ不可
フィルム巻き戻し:クランク式
電池:SR44、LR44またはCR-1/3×2、(3Vリチウム電池)×1
寸法・重さ(ボディのみ):142.5×90×60mm、540g
発売時価格(ボディのみ):72,000円(ブラックは76,000円)
50mm F1.2付 115,000円
50mm F1.4付 101,000円
50mm F1.8付 81,000円

写真学生からプロカメラマンまで広く使われ、2001年のFM3A発売まで発売された。

この時代、一眼レフに搭載されているフォーカルプレーンシャッターの最高速度は1/2000秒であった。これはプロ用の最高級システム一眼レフであるニコンF3、あるいはキヤノンニューF1、ペンタックスLXといったトップクラスのカメラでも同じだった。その限界の壁を創めて打ち破り、1/4000秒の最高速シャッタースピードを実現したのがニコンFM2だった。そしてFM2のマイナーチェンジ版がNew FM2である。
FM2では高速化のためにスクウェアタイプのシャッター羽根をチタンで作り、さらにケミカルエッチング処理により部分的に薄くして、極限まで軽くした。強度を保持するために格子状に厚い部分を残しており、その形が蜂の巣状になっているので、ハニカムパターンと呼ばれている。これはNew FM2にも受け継がれているが、後期になるとアルミ製に変更されている。
もともとこの高速フォーカルプレーンシャッターを開発した動機は、最高速1/4000秒の実現というよりむしろスピードライトの同調速度の高速化にあった。
あるプロ写真家の要求で、35mm判の画面が少々欠けてもいいから1/250秒を超える速度でスピードライトを同調したいという話がニコンに伝えられたのをきっかけだった。FM2でスピードライト同調が1/200秒になり、2年後に発売されたNew FM2で1/250秒を実現した。

[掲載文献]
CAPA ニコン一眼レフのすべて P86
マニュアルニコンの全て P18
カメラレビュー・クラシックカメラ専科 №73 P52
MF一眼レフ名機大鑑
マニュアルカメラ全集 P11
国産実用中古カメラ・買い方ガイド100 P66
神立尚紀 図解・カメラの歴史 P173
極上カメラ100 P72

[修理マニュアル]
やさしいカメラ修理教室 P137