東京光学はトプコンRで35mm一眼レフに参入した。レバー巻き上げ、クイックリターンミラー、半自動絞りレンズ、ファインダーはウエストレベルとペンタプリズムの交換式、さらにファインダーには国産初の上下像合致式のスプリットイメージ距離計が付けられ、当時としては最高のスペックで、高い信頼性を持ったカメラとして好評を得ていた。
ボディ設計は善養寺研一、光学系は大沢秀夫が担当した。トプコンとしては初めての35mm一眼レフであり、フォーカルプレーンシャッター機であった。
エキザクタを3台分解し、各機構をチェック、マウントは歴史あるエキザクタを範とした。交換レンズを揃えるのに時間がかかることを恐れる結果でもあった。
レンズにはセミオートマチックの自動絞りが設けられている。これは開放レバーで絞りを開放にして、ピントを合わせた後レリーズボタンを押すと自動的に絞りが絞られ、更に押すとシャッターが切れる。
1958年ベルギーのブリュッセルで開かれた万国博覧会に出品されたトプコンRが、産業機械出展製品のカメラ部門でドイツ製品を退け「万国博覧会名誉賞」を受賞した。
ニコンFより2年近くも前に登場した高級システムカメラであるが、完全自動絞りを実現したⅡ型が出た時にはニコンFが一眼レフの真打として登場していた。
ファインダー:ペンタプリズム交換式、スクリーン固定
標準レンズ:オートトプコール5.8cm F1.8
シャッター:布幕横走行フォーカルプレーン B、1~1/1000秒
絞り機構:半自動絞り シャッターが切れると絞りが絞られるので、鏡胴のレバーで開放に戻す。
大きさ・重さ:155×100×52mm、767g(標準レンズ付1036g)
価格:48,000円
トプコンRは、日本で、ミランダT、アサヒペンタックスAPに続く三番目のペンタプリズムファインダー付きフォーカルプレーンシャッター一眼レフカメラである。日本製で初めてファインダーにスプリットイメージが採用された。エキザクタマウントであるが、シャッターボタンの位置がエキザクタと左右逆なので、プリセットアームが張り出したタイプのレンズでは互換性がない。
ボディのデザインは、西ドイツのヴィルジン社製エディクサフレックスに範をとったものでよく似ている。
プリズムの脱着は後ろにスライドさせるタイプ。スクリーンは交換できない。
このカメラは大型で、「アサヒカメラ」のテストリポートで「軍用カメラ」と評されたのは有名な話。この言葉の裏側には、ただ大きいだけではなく堅牢でしっかり作ってあるという意味も含まれている。
CdSが実用化されつつあったことを背景に、TTL方式に感心を深め、1960年頃から本格的に検討を始め、1963年にREスーパーが登場する。
トプコンRは、その堅実で丈夫な作りから、警視庁の公式カメラに採用された。その際少数ブラックボディも作られた。
[掲載文献]
カメラレビュー クラシックカメラ専科62 P82
カメラレビュー「一眼レフの歴史とそのメカニズム」 P65
入門金属カメラ・オールガイド P33
[エディクサレフレックス]
ハインツ・ヴァースケが設計した35mm判フォーカルプレーン・シャッター式一眼レフ。レンズ交換式で、M42プラクチカ・マウントを備えている。最初のモデルは1954年頃に登場。以後多くのバリエーションモデルが登場。このシリーズは、シャッターを切るとミラーが上がったままであるが、1960年頃にはクイックリターンミラーを備えた上級機「エディクサ・マート・レフレックス」のシリーズがスタート。このシリーズも多くのモデルがあり、1968年に倒産するまで50種類をはるかに超えている。
この「エディクサフレックス・スタンダード」はベーシックな機種の一つで、クイックリターンではない。シャッター速度は1/2~1/500秒でシャッターダイヤルは回転する。レバー巻上げ、コマ数計は手動設定、ファインダーは交換式である。
(世界ヴィンテージ・カメラ大全 P151)