(初代ミノックス35EL 1974)
超小型・軽量の35mmレンズシャッター式カメラで、フラットカメラの代表的存在。沈胴式鏡胴と前板開閉を組み合わせ、折りたたみ式を採用。プラスチックを使って軽量化を達成。取り付け型専用ストロボがある
MINOX 35 TOURINGはMLの限定バージョンで、「TOURING」というのは、日付けプリント機能が付いていて、旅行に最適というところから名づけられたという説がある。
世界限定3000台(3333台説も)。フロントカバーについている数字はシリアル№で、こんなに目立つところにあるのは珍しい。
レンズ:カラー-ミノター 35㎜ F2.8
シャッター:絞り優先AE、30~1/500秒
焦点調節:目測式前玉回転式
大きさ・重さ:10×6.1×3.1cm、190g
外装:プラスチック製
シリーズの最初は1974年のNINOX 35 ELだが、1970年代に、このような洗練されたデザインが採用されていたことに驚く。このデザイン性の高さは日本にも影響を与え、CONTAX 1やRICOH FF-1などを生み出す基礎となった。
主なMINOX35シリーズ
EL 1974年 絞り優先AE
GL 1979年 〃
GT 1981年 〃
PL 1982年 プログラムAE
ML 1985年 プログラムAE、絞り優先AE
AF 1988年 オートフォーカス
GT-E 1988年 絞り優先AE
T0URING 1990年 MLの3000台限定モデル
GTX 1997年 絞り優先AE
GT-3 1998年 〃
日本市場で多焦点レンズが35mmレンズシャッター・カメラに占める割合が7割に達するようになり、更に高倍率ズーム化競争も加わって、大型化の傾向が出てきたが、小型化へのニーズは底流にあった。
1974年フォトキナに、折りたたみ式を採用した超小型35mmカメラ「ミノックス35EL」が登場する。斬新なデザインと、35mmフルサイズカメラで当時世界最小というコンセプトで、世界のカメラメーカーに衝撃を与えた。当時のハーフサイズカメラと違わないサイズでフルサイズカメラを実現した。
この折りたたみ・沈胴式ボディの構造は、その後まねをするメーカーがいくつも現れる。
リコーFF-1、京セラのコンタックスT、ソ連のキエフ35Aなどである。
1988年発売のGT-Eと1991年発売のGS-Eだけでも200万台以上販売されたという。
一時的に、カプセル型の「オリンパスXA」や「ミノルタAF-C」、「キャノンMC」など、ストロボを内蔵した超小型の35mmカメラの流れを生む。
1984年に、AE、AF、ストロボ、モーター巻上げ機能を持って、コンパクトで軽量な「コニカ・ビッグミニ」が登場したのをきっかけに、メーカーは一層のコンパクト化に進む。
[掲載文献]
スナップ№6「オシャレなフィルムカメラをゆったり楽しむ本」 P84
カメラの歴史散歩道 P53
クラシックカメラ倶楽部 P52
ノスタルジックカメラ・マクロ図鑑 Part1 P110
写して楽しむクラシックカメラ Part2 P100
こだわりのカメラ選び Part2 P104
世界ヴィンテージ・カメラ大全 P140